ヘッセ「車輪の下」あらすじ&相関図で解説

ドイツ文学/ヘルマン・ヘッセ/ノーベル文学賞

学校と父親や何人かの教師の野蛮な虚栄心が、無邪気に広がっていた穏やかな子どもの魂のなかで遠慮会釈なく暴風雨のように吹き荒れることで、このもろくて繊細な人間をすっかり追い詰めてしまっているとは、誰一人考えなかったのだ。

―本文第5章よりー

【読書指標】  

文章難解度 ★★★☆☆

物語の長さ ★★☆☆☆

要背景知識 ★★☆☆☆

多感で繊細な少年少女の心を踏み潰していく社会の仕組み。
周囲の大人たちから期待を一身に背負う少年に「車輪」が重くのしかかってくる…。
ノーベル文学賞受賞作家ヘッセの自伝的名作!
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主要人物を4人だけ覚える

ざっくり相関図

シーン別:攻略ポイント

①難関の入試を受験、そして結果発表

 田舎町で一番の優等生ハンスは周囲の期待に応えるべく、部屋に長時間こもって勉強漬けの毎日。頻繁にめまいを起こす最悪のコンディションで神学校の入学試験を受けます。
結果は上位2番目の成績で合格。同級生よりも一足早い夏季休暇を与えられ、あまりの解放感にハンスは大喜び。

②神学校入学前の忙しい夏季休暇

試験合格により大好きな釣りも解禁になって、ハンスは同級生より一足早く夏季休暇を謳歌し始めます。
しかし、エリートが集う神学校の勉強で遅れをとらないようにと危惧した故郷の牧師や校長が、夏季休暇を楽しむハンスに予習を勧め個人授業をするようになります。
そして夏季休暇はいつの間にか勉強漬けの毎日と引き戻されます。

③級友ハイルナーとの神学校生活

神学校に入学した内気なハンスは、寮生活で級友となかなか馴染めず、ひたむきに勉強します。

そんな中、自由奔放なハイルナーと親交を深めるようになり、学校や勉強の不条理さを唱える彼を慕って、ハンスは忘れていた青春を取り戻すかのように生き生きとした日々を送ります。

④ハイルナーに続きハンスも退学処分、故郷に戻る

しかし、ハイルナーと過ごす時間ばかりを優先させたことで、ハンスの成績はみるみる悪化していきます。

しかも、些細なトラブルから校長室で級友を殴ったことで、学校中から問題児という烙印を押されてしまったハイルナーは、謹慎後も態度を変えることなく放校処分になります。

ハイルナーの影響を受けて成績が最下位にまで落ちていたハンスも、心身を衰弱させてしまい、自宅療養という名目で退学になります。

⑤果汁絞りの手伝いでエンマとの初恋

故郷の実家に戻されたハンスは、容態が一向に良くならないまま森で寝そべるだけの毎日を過ごします。

町の人々からも相手にされなくなり、自殺を考えるようにまでなります。

秋になり、親しい人の仕事場で果汁絞りの作業が始まるとハンスも手伝うようになります。

そこにはエンマという娘も手伝いに来ていて、親しくなったハンスは彼女に恋心を抱きます。

⑥機械工としての新たな門出

幼馴染だったアウグストが機械工になっていると聞き、進路が定まっていなかったハンスも機械工になる意思を父に話します。

親子で果汁圧搾機の手伝いに行くと、エンマが別れも告げずに遠く離れた実家に戻ったことを知り、初恋ははかなく終わりを迎えます。

機械工の見習いとして働き始めたハンスは、ツラい労働の中にも誇りを見出し、アウグストや仕事仲間と居酒屋で酒を飲み愉快に過ごします。

酔いが回り、ひとり店を出て木の下で横になったハンスは、惨めな気持ちになって泣き出します。その夜、父親が待つ家に戻ることはなく…。

追記:はた迷惑な意固地の努力…エミールの金切りバイオリン

 

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