ロシア文学／ウラジーミル・ナボコフ／映画化原作
私たちの奇怪で獣じみた同棲期間中に、我が平々凡々たるロリータにも次第に明らかになってきたのは、たとえ最も惨めな家庭生活ですら、近親相姦のパロディよりはましであり、実はそれこそ、長い目で見れば、私がこのみなしごに対して提供できる最良のものだったのである。
―第二部よりー
【読書指標】
文章難解度 ★★★★☆
物語の長さ ★★★☆☆
要背景知識 ★★★☆☆
小悪魔的な思春期の少女たち。
彼女たちの変化に、少年たちは性の匂いを感じていく。
そのはかない芳香への疼きが忘れられない中年男たちは、萌え少女に、そして「ロリータ」ことドロレス・ヘイズに追い求める。
内容をめぐり今も論争が耐えない、謎が散りばめられた我が腰の変質文学！ それが…ロ・リー・タ。
主要人物を４人だけ覚える
ざっくり相関図
シーン別：攻略ポイント
①ハンバート、「ニンフェット」への性に目覚めた経緯
物語の全編にわたり、哀れなハンバートが獄中で書き残した告白の記録という形で今までの経緯が語られます。
フランスで過ごした少年時代、同じ年頃の女の子アナベルと仲良くなり「ニンフェット（思春期の小悪魔的な少女）」の魅力に目覚めますが、数か月後に彼女が病死。少女アナベルをずっと忘れられない美男子ハンバートとしての生涯が幕を開けます。
成人ヴァレリアとの初婚はうまくいかず、離婚してカナダで療養生活を送っていたハンバートですが、叔父から商売を継ぐためアメリカに渡ります。
②ロリータとの出会い、その母親との結婚…そして事故死
縁があって未亡人シャーロットの家に招かれ、娘のドロレス（愛称ロリータ）に一目惚れしたハンバートは、彼女の家庭教師として同居します。
しかし、母シャーロットがそりが合わない娘ロリータをサマーキャンプ（夏休みの野外施設生活）に送り出し、自宅から遠ざけてしまいます。
そして、二人きりとなったシャーロットに求婚されたハンバートは、愛するロリータと暮らす最善の選択と考え、母親との結婚に踏み切ります。
再婚相手のシャーロットを巧みに扱っていたのもつかの間、ロリータへの偏愛をつづった日記を妻に読まれてしまいます。罵られて目を離していた隙に、娘ロリータに連絡しようと飛び出した家の前で車に轢かれ死亡。
突然妻を失ったハンバートは、事故死に伴う手続きを終えるとすぐに、ロリータのいるサマーキャンプの施設へ車を飛ばします。
③天涯孤独になったロリータを占有する、２年間の旅生活
サマーキャンプの施設でロリータを引き取ったハンバートは、母シャーロットが入院していると嘘をつき、遠く離れた病院に見舞いに行くという口実でホテルに宿泊します。
ロビーで妙な男（クィルティ）に「お連れは実の娘さんでしょ？」と謎の忠告を受けますが、ロリータと水入らずで過ごしたいだけのハンバートは、娘とベッドを別にして寝ます。
しかし翌朝、ロリータの気まぐれな誘いから肉体関係を結んでしまい、母シャーロットが交通事故で死んでいた事実を告白。天涯孤独になったことを悟ったロリータは、生きるため仕方なくハンバートに従います。
一方のハンバートは、父親未満で恋人未満という立場に不満を募らせながら、二年間にわたる彼女との長い放浪生活を続けることになります。
④ロリータに逃げられ…リタという女性に支えられる日々
思い返すとロリータとその周辺に不可解な行動があったものの、決定的になるのは彼女が高熱を出して入院したとき。見舞いに行くとロリータの姿はなく、逃亡して行方をくらましていました。
一心不乱で二年も調査した甲斐はなく、ロリータの荷物を整理し、療養所での生活を経て、リタのいう女性の愛に支えられながらハンバートは失意の苦悩を癒していました。
⑤突然届いた、ロリータからの手紙
しかしその穏やかな日々も、突然届いたロリータからの手紙によって終わりを迎えます。
「ある男性と結婚し身ごもっている私に送金して欲しい」とつづるロリータ。
ハンバートは車に乗り込み、彼女が暮らす家を目指します。
ハンバートは再会を驚くロリータに、彼女の逃亡を手伝ったのは誰なのか、そして今すぐこの家を出てもう一度二人で暮らしてほしいと詰め寄ります。
ロリータが、元家庭教師だったクィルティに助けてもらった経緯を説明してから、ハンバートとは暮らす意思がないことを改めて強調。失意で泣き崩れるハンバートは、彼女に母の残した財産を手渡して彼女の家を去ります。
⑥懇願むなしく、ロリータとは生き別れ…クィルティを許さない！
ロリータに拒否されたハンバートの悲しみは底知れず、すべての矛先が憎しみとして、ロリータとの親密だった関係に介入したクィルティへと向かいます。
客人の車らしき数台が並ぶ玄関に停車し、拳銃を握りしめ、物が散乱した邸内に忍び込んで、クィルティを探し当てるのですが…。
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